今月のサイスポが発売され、一番聞かれていることについて。
多分気になったであろう画像はこちら。
「大宅さん、クランク長すぎませんか?」
確かに。画像で見るとかなり長く見えます。
私の身長は161cm。脚の長さは平均的。それに対してクランク長は170mmです。最近のクランク論(?)からみると、長いですね。身長の10分の1なら160mmでもよいはずです。なぜ170㎜なのか。
私の
①クランク長決定の経緯
②クランク長に対する持論
を少し書いてみようと思います。
まず①クランク長決定の経緯について。少し、昔話にお付き合いください。
約9年前。最初に購入したBianchiのLupoについていたクランク長は170mmでした。一般的な完成車は170mmのクランクがついていることがほとんどだと思います。
そのまましばらく乗り続け、特に困ることもなく数年。
約6年前にCannodaleのSupersixを購入。こちらも170mm。
購入してから数か月後にコンポーネントをDura-Aceにグレードアップすることにしました。併せて他のパーツもカーボンで揃えることにしました。(ボーナス全てをパーツに投入していた頃です。この投資が今のバイクにも組み込まれています。ナイス!若かりし頃の自分!)
本格的にヒルクライムレースに向けて練習するようになっていたので、しっかりとフィッティングを受け、ステム長やハンドル幅、クランク長を確認し、パーツを購入することにしました。
フィッティングを受けたのはSpecializedのBody Geometry Fit。通称『BGフィット』です。ここでフィッティングを受けた結果「体の柔軟性の高さからクランク長は170mmで問題なし」との返事をもらいました。
確かに困っていなかったので、170㎜のクランクを購入しました。
それから数年。今度は腰を痛め「チャリダー★」腰痛スペシャルで佐藤一朗先生と出会いました。クランク長についても相談をさせていただきました。詳細は差し控えますが、お話を伺い、私の中で「確かに身長に対してクランクが長いが、メリットもあり、急いで交換するほどではない」という結論に至りました。
そして、今に至ります。
②クランク長に対する持論について
あくまで自分の経験と色々な方から頂戴したお話をもとにした持論です。
上述の文からお気づきになった方もいらっしゃるかもしれませんが、私は170㎜のクランクで“困った”ことが1度もありません。腰痛の際に一因がクランク長にあるのではないかと感じ、疑問に思っていたことはありますが、今は主な原因とは感じていません。
身長や足の長さから考えると、一般的に効率的に回せるクランク長は身長の10分の1と言われています(各論ありますが)。私の場合は、一般論より10mm長いクランクを回しています。上死点~下死点で考えると20㎜。160㎜のクランクを回すよりも2cm大きい円を描きながらペダリングをしています。
ここで、私が思うクランク長を変えることのメリットとデメリットについて簡単にまとめてみます。
<クランクを長くするメリット>
・てこの原理を使ってクランクをより少ないトルクで回すことができる
<クランクが長すぎる場合のデメリット>
・上記を補うために腰が動き、体のブレ、痛み、パワー伝導のロスを生じる
<クランクを短くするメリット>
・ペダルを回す際の脚の動きが少なく(省エネ)ケイデンスを上げやすい
・上述のため上半身のブレが起きにくい
<クランクが短すぎる場合のデメリット>
・てこの原理が使いづらいため、クランクを回すのによりトルクが必要になる
メリットは体に合っている場合、デメリットは体に合っていない場合より顕著にあらわれます。体に合っていない場合を除き、メリットとデメリットのバランスで決めるのがよいと考えています。
私の場合は、
・上死点でのつかえを感じていない
・ヒルクライム中心のため、てこの原理をつかってトルクをかけられたほうがよい(ロードレースほどケイデンスの変化を必要としていない)
・特に困っていない
という理由から、170㎜を使っています。
↑170㎜を回している動画はこちらです。
身長は一つの目安です。股関節周りの柔軟性や乗り方によって柔軟に考えるとよいかと思います。
私の場合、短いクランクを練習でしっかりと使いこんだことはなく、167.5㎜や165㎜にも興味があります。いつか使ってみてそちらの方がよいと思えば交換します。ただ、現在のクランクにパイオニアのパワーメーターをつけているので(クランクに固定されていて個人が他のクランクに付け替えることができません)当面は現在のクランクを使い続けると思います。
フィッティングにおけるキーワードは「自分自身の困り感」だと思っています。一般論は一つの目安ですので、自分の体と相談をし、解決策を見つけ、わからないことはプロにお金を払って教えてもらう、というのがよいのではないでしょうか(^^)